クレープ専門キッチンカーは儲かるのか?

「クレープは原価が安いから儲かる」と聞いたことがある方も多いでしょう。確かに、スイーツ系キッチンカーの中でもクレープは利益率が高く、機材や仕込みの手間も比較的少ないため、開業しやすいジャンルとされています。しかし、“儲かるかどうか”は商品力や出店戦略次第。ここでは、その理由や実際の収支イメージ、成功と失敗を分ける要素について詳しく解説します。
クレープはなぜ「利益率が高い」と言われるのか?
- ✅主な理由は「材料費が安く、手間が少ない」から
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- ↳クレープは主に小麦粉・卵・牛乳・砂糖といったシンプルな材料からできており、1枚あたりの原価はわずか30〜50円程度。
- そこにフルーツ・ホイップ・ソースを加えても、トータルの原価は1個100〜150円前後です。
- 一方で、販売価格は400〜700円程度が一般的。
- トッピング次第で800円以上になることもあり、利益率(粗利)は60〜70%超になることも珍しくありません。
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- 〘その他のメリット〙
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- ✓ フライヤーや高火力が不要で、安全かつコンパクトな厨房で対応可能
- ✓ 「焼きたて」をその場で提供できるため、見た目・香りでの集客効果も高い
- ✓ 季節限定・地域限定など、メニュー開発が柔軟で飽きられにくい
1日の売上・原価・利益モデルをシミュレーション
以下は、週末イベントに出店した場合の1日の売上・収支モデルです(あくまで一例)。
- ケース:1日あたり80食販売した場合(平均単価600円)
項目 |
金額・内容 |
売上 |
600円 × 80食 = 48,000円 |
食材原価 |
約120円 × 80食 = 9,600円 |
出店料 |
約8,000円(イベント日額) |
人件費 |
1名アルバイト 8,000円 |
その他経費 |
ガス・包材・紙ナプキン等 約3,000円 |
粗利益 |
約19,400円(=利益40%超) |
- 売上が50,000円を超えると、粗利2万円以上が見込めるため、副業としても成り立つ規模感です。
成功例と失敗例から見る儲かる/儲からない分かれ道
- ◎成功例に共通するポイント
- 🔵「焼きたて×映え」を意識した見た目&香りで集客
- 🔵平日はオフィス街・休日はイベントなど、出店場所の使い分けが上手い
- 🔵トッピング・季節限定メニューで単価をアップ
- 🔵SNSや口コミでファンを育てる仕組みを導入している
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- 🔴商品単価が安すぎて利益が出ない(300円台中心)
- 🔴出店場所選びが悪く、回転率が低い
- 🔴同じメニューを出し続けてリピーターが飽きる
- 🔴焼く技術・提供スピードが不安定で行列に弱い構造

クレープキッチンカーで安定して売上を出すためには、「見た目のインパクト」や「食べやすさ」だけでなく、原価・回転率・季節性などを加味したメニュー設計が欠かせません。ここでは、人気店が意識している「売れるクレープの特徴」と、具体的なメニューづくりのポイントを解説します。
定番フレーバー vs 季節限定メニュー
- 【定番フレーバーの役割】
- 定番は、初見の顧客でも「安心して頼める選択肢」。
- 以下のような構成が鉄板です:
- ◉チョコバナナ生クリーム
- ◉イチゴ生クリーム
- ◉キャラメルカスタード
- ◉あんこ×ホイップ(和風)
- 💡これらは全年齢層に対応しやすく、定番ゆえに安定した売上が見込めます。
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- 【季節限定メニューのメリット】
- 季節感を出すことで、「今だけ」の購買意欲を刺激します:
- 🌸春:桜あん・抹茶ホイップ・イチゴ2種使い
- 🍋夏:フルーツミックス・レモンカスタード・冷やしクレープ風
- 🍠秋:モンブラン・さつまいも・かぼちゃ系
- 🍫冬:チョコブラウニー・ホットアップルシナモン
- 💡SNSで拡散されやすいのは、季節の限定メニュー+ビジュアルインパクトです。
「映え」と「回転率」のバランスの取り方
「映える」クレープは集客に強く、「回転率が高い」クレープは利益を支える──このバランスこそがキッチンカー運営の肝です。
- ✅映えメニューの特徴
- ・トッピングが立体的(上に盛る・色味を使う)
- ・ワンポイントで「手描きチョコアート」や「花型いちご」など
- ・パッケージにも工夫(透明カップ型・ブランドロゴ入り包み紙)
- ※デメリット:工程が増えて提供が遅れると行列=離脱につながる
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- ✅回転率重視メニューの特徴
- ・包むだけで提供できるシンプル系(バナナチョコ・シナモンシュガーなど)
- ・一定の工程を事前仕込みで済ませておける(フルーツカットなど)
- ✍コツは「映え重視:2〜3種+スピード重視:2〜3種」の構成でバランスをとること。
原価率と仕込みの手間を考えたおすすめ具材
売れるクレープをつくるには、“手間をかけずに見栄えする具材”を活用することが重要です。
具材例 |
特徴 |
ホイップクリーム |
業務用で安く仕入れ可能/ボリューム感が出しやすい |
バナナ |
安価で仕入れやすく、定番人気 |
カスタード |
自家製/冷凍可、色味がよく映える |
ソース類(チョコ・キャラメル) |
コスト低&視覚的にアクセントに最適 |
コーンフレーク |
食感がプラスされ、安価なかさ増し素材 |
- 💡仕込みの工夫
- ❶フルーツは「盛る」のではなく「包む」ことでスピードUP
- ❷カスタードは事前に絞り袋へ/ホイップは業務用パックを活用
- ➌包装も「巻き型テンプレート」を使って時短化
- 仕込み時間を短縮しつつ、提供スピードと見た目を両立させる工夫が、繁忙時の売上を左右します。
クレープキッチンカー開業に必要な費用・許可・設備

クレープ専門のキッチンカーを始めるには、ある程度の資金と設備、そして営業許可の取得が必要です。この章では、初期費用の目安や必要な資格、クレープ販売に適した車両・機材の選び方までを解説します。
初期費用の内訳(車両・厨房設備・材料費など)
クレープキッチンカーの開業費用は、業態の中でも比較的低コストです。以下は、おおまかな初期費用の内訳です。
項目 |
相場(目安) |
キッチンカー車両 |
約100〜200万円 |
調理機材(鉄板・冷蔵庫・水道など) |
約30〜50万円 |
保健所申請・営業許可取得費 |
約1〜2万円 |
食品衛生責任者講習 |
約1万円(都道府県で変動) |
材料・包材・備品など |
約5〜10万円 |
初期広告・SNS整備費 |
数千〜2万円程度 |
- 中古車+最低限の設備であれば、150万円前後で開業可能な場合もあります。
必要な資格と営業許可(保健所・食品衛生責任者など)
飲食物を販売するには、営業許可と資格取得が必須です。以下が最低限必要な手続きです。
- 📝必須の資格・許可
- ❶食品衛生責任者の資格
- ・各自治体が実施する講習(1日)を受けて取得
- ・調理師免許がなくても取得可能
- ・費用:約1万円前後
- ❷営業許可(移動販売車)
- ・車両設備が基準を満たしていることが前提
- ・保健所にて事前相談+現地審査あり
- ・許可取得までに1週間〜1ヶ月程度が一般的
- ・費用:1〜2万円程度(自治体により異なる)
- 💡自治体ごとに設備基準や提出書類が違うため、必ず事前に営業エリアの保健所に相談しましょう。
クレープ向けの車両・機材選びのポイント
クレープは焼きたて提供が基本となるため、火器・冷蔵・作業スペースのバランスが特に重要です。
- 🚚クレープ販売に適した車両の特徴
- ✓ 小回りがきく軽バン〜1.5tクラス(都市部でも使いやすい)
- ✓ 車内に換気扇+二層シンク+給排水タンクが設置可能な広さ
- ✓ 側面販売口が広く開く設計で、対面販売の視認性が高い構造
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機材名 |
理由・ポイント |
クレープ専用鉄板(1〜2台) |
均一な焼き加減に重要/電気式 or ガス式 |
冷蔵ストッカー |
フルーツ・ホイップなどの温度管理に必須 |
シンク・給排水タンク |
保健所基準に適合するサイズ(2槽式+給水40L〜)が必要 |
作業台・トッピング台 |
盛り付けしやすく、清潔に保てるレイアウトが重要 |
ガスボンベ or 発電機 |
使用機器に応じて選択(電気式の場合は発電機が必要なことも) |
- 「中古車両+中古機材」でも始められますが、保健所基準に適合しているかの確認が最優先です。
売上を伸ばすための出店場所と販促戦略

クレープは味はもちろん、“見た目”と“出店場所”の戦略次第で売上が大きく変わる商品です。ここでは、利益を伸ばすための「立地選定」「SNS活用」「メニュー工夫」の3つのポイントを紹介します。
クレープが売れやすい立地・イベントとは?
クレープは、“女性・ファミリー層・若者”が多い場所で特に強いスイーツです。
以下のようなエリアやイベントが高相性です。
- ✅売れやすい出店場所の特徴
- ◉若年層・カップル・ファミリー層の多い商業施設前
- ◉学生の多いエリア(大学・高校近く)
- ◉人が集まる土日イベント(マルシェ・フェス・地域祭り)
- ◉観光地・道の駅・海沿い・公園などの“おでかけ立地”
イベント種別 |
クレープとの相性 |
備考 |
音楽フェス |
◎ |
映え&片手で食べられるので好相性 |
花火大会・夏祭り |
◎ |
夏場は冷やし系・フルーツ系が特に人気 |
マルシェ・ママ向けイベント |
◎ |
小さな子連れ・甘い物ニーズが安定的に高い |
- 特に「片手で食べられて映える」点がクレープの強み。人通りの多い場所より、ニーズが合う場所を狙うのがコツです。
SNS映えを活かした集客方法
クレープは、“写真で伝えやすく、拡散されやすい”キッチンカー商品の代表格です。SNSを活かすことで、自前の集客力を持つことができます。
- 📱集客に効果的なSNS運用のポイント
- ・Instagramで「新メニュー告知+ハッシュタグ」発信
- ・#キッチンカークレープ #●●市スイーツ など地域密着タグを活用
- ・ストーリーやリールで「焼く工程」「仕上げシーン」を見せる
- ・出店予定を固定投稿に一覧化して告知
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- 📸写真の撮り方の工夫
- ・包み紙にロゴ・ブランド感があると拡散率UP
- ・トッピングを見せる「真上から」や「横から断面」の構図が人気
- ・自然光 or リングライトで“食品が映える明るさ”を確保
- SNSでの発信=「お客様の来店動機づくり」。投稿で行列感や臨場感を演出することが販促につながります。
セット販売・限定メニューで単価UPを狙う方法
クレープは1個500〜700円台が主流ですが、セット販売や「+α戦略」で単価を上げることが売上の鍵です。
- 〘🆙有効な単価UP戦略〙
- ・クレープ+ドリンクのセット販売(800〜1,000円に自然に誘導)
- ・「追いトッピング」:+100円でホイップ/アイス/チョコ増量など
- ・イベント限定メニューで“今だけ”感を演出
- 例:桜クレープ(春限定)/ハロウィンクレープ(秋限定)
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- ・レジ前で「セット割」を明示的に案内
- ・季節限定品をSNSで先出しして“予約的な来店”を誘導
- ・クレープ名にストーリー性をもたせて単価UPを正当化(例:「ご褒美チョコバナナ」)
- 💡クレープの強みは「トッピング・名称・組み合わせ」で自由に世界観を作れること。ブランド感を意識した価格設定が利益率向上に直結します。
まとめ|クレープ専門キッチンカーで失敗しないために

クレープは“利益率の高さ”“見た目の華やかさ”“手軽な提供”という強みを持つ、キッチンカーとの相性が非常に良いメニューです。一方で、見た目だけに頼ってしまったり、出店場所やメニュー構成を誤ると利益が出にくくなることも。ここでは、クレープキッチンカーで失敗しないための要点を最終チェックとして整理します。
初心者が陥りがちな落とし穴と対策
キッチンカー初心者が出店時に失敗しやすいポイントを、以下にまとめます。
落とし穴 |
対策方法 |
単価の安さを競ってしまい利益が出ない |
平均客単価を700円以上に設定する構成にする |
SNSや出店場所の発信が足りず認知されない |
出店予定・映えメニューは積極的にInstagram等で発信 |
焼きの失敗や提供遅延で行列を逃す |
鉄板の温度管理+事前練習で安定した提供を徹底 |
初期投資だけで資金が尽きる |
開業後3か月分の運転資金も見越して資金計画を |
- 初期のうちは“売ること”よりも“学ぶこと”の期間と捉え、経験値を積むことで安定経営に繋がります。
継続的に利益を出すための運営チェックポイント
クレープ専門キッチンカーを「趣味」ではなく「事業」として継続するためには、以下のようなポイントを日々意識しましょう。
- ✅客単価は適正か? ➡ セット販売・トッピング提案で自然な単価UP
- ✅出店場所は利益に直結しているか? ➡ 回転率が悪ければ柔軟に変更を検討
- ✅メニューは飽きられていないか? ➡ 季節・地域限定を定期的に投入
- ✅SNS・口コミの導線はあるか? ➡ 発信とレビュー依頼をセットで運用
- 💡“数字”と“感覚”の両方を使い、「毎月何を改善するか」視点を持つことが利益持続のカギです。
まず何から始める?準備チェックリスト
開業を検討している段階で、「何から始めればいいの?」という方のために、シンプルなチェックリストを用意しました。
- 📝クレープキッチンカー開業準備リスト
- ✅出店エリアの保健所に相談し、許可要件を確認した
- ✅食品衛生責任者の講習を予約した
- ✅キッチンカー(車両)の購入or見積もりを開始した
- ✅鉄板・冷蔵庫・水回りなど機材のリストを作成した
- ✅SNSアカウントを開設し、初期投稿の準備を始めた
- ✅クレープの焼き練習と盛り付け試作を始めた
- ✅人気のクレープ店をリサーチし、差別化のアイデアをメモした
-
- 💡すべて完了していなくても、ひとつずつ確実に進めていくことで、開業の準備は整います。
🚚 この記事のまとめ
- ✓ クレープは高利益率・低リスクで始めやすいスイーツ業態
- ✓ 出店場所・メニュー設計・SNSが売上のカギ
- ✓ 焼きの練度・提供スピードが現場での勝負ポイント
- ✓ 最初の3か月は“経験と改善”が最優先!