1. キッチンカーの寸法が重要な理由

キッチンカーを選ぶとき、デザインや価格に目が行きがちですが、実は「寸法(サイズ)」が成功の分かれ道です。
外寸・内寸のわずかな違いが、作業効率や営業許可、さらには出店の可否まで大きく左右します。
ここでは、寸法が重要な理由を3つに分けて解説します。
作業効率とメニュー展開に直結する
キッチンカーの内寸は、「どのメニューが出せるか」「何人でオペレーションできるか」 を決める要素です。
- 🚚軽トラタイプ(内寸が狭い) ➡ コーヒー・軽食・スイーツ向き
- 🚛1.5tトラックタイプ(内寸が広い) ➡ ピザ窯やフライヤーを搭載可能
👉 寸法が小さすぎると、調理器具が入らずメニューを制限せざるを得なくなります。
逆に広すぎると、初期費用や維持費が高くなるため、やりたいメニューと寸法のバランスが必要です。
営業許可(保健所基準)を満たすために必要
キッチンカーは「見た目が良ければ営業できる」わけではなく、保健所の営業許可基準を満たす寸法設計が必須です。
- 🔵シンクは2槽以上(東京都の場合)
- 🔵給水タンク40L以上・排水タンク50L以上
- 🔵作業スペースに冷蔵庫や保冷庫を設置できるだけの寸法
👉 寸法が狭すぎると、シンクや冷蔵庫が置けず営業許可が取れないケースもあります。
つまり「寸法を確保=営業できる条件を満たす」ことにつながります。
出店場所・駐車場の制限にも影響する
キッチンカーの寸法は、出店可能な場所や駐車スペースにも直結します。
- 高さ制限 ➡ 立体駐車場やイベント会場のゲートに入れない場合がある
- 幅・全長 ➡ 商業施設やマルシェでは「軽トラサイズのみ可」と制限されることも
- 運転面 ➡ 大型トラックタイプは小さな道や住宅街では不便
👉 「小回りの効く軽トラ」か「大容量のトラック」かで出店先の幅が大きく変わります。
開業前に、想定する出店場所に入れる寸法かどうかを必ず確認しましょう。
✅ ポイントまとめ
- ‣ 寸法はメニューの幅・作業効率に直結する
- ‣ 営業許可の基準を満たすために十分な寸法が必要
- ‣ 出店場所や駐車スペースに入れるかどうかも重要
2. 車両タイプ別の寸法目安

キッチンカーと一口に言っても、ベースとなる車両の種類によって寸法は大きく異なります。
ここでは、代表的な3タイプ(軽トラック・バン・1.5tトラック)に分けて、それぞれの寸法と特徴を紹介します。
軽トラックタイプ(全長・幅・高さの標準)
軽トラをベースにしたキッチンカーは、初心者に最も人気のあるタイプです。
- 全長:3.4〜3.6m
- 幅 :1.5〜1.6m
- 高さ:2.3〜2.5m(改造後)
- 内寸:幅1.4m × 奥行1.9m × 高さ1.8m程度
👉 狭いスペースにも駐車でき、小回りが効くのが最大のメリット。
ただし、作業スペースは限られるため、コーヒー・ドリンク・軽食・スイーツ向きです。
バンタイプ(軽バン・ハイエース系)の寸法
バンをベースにしたキッチンカーは、移動販売+通常走行のしやすさを兼ね備えています。
🚚軽バン(エブリイ・アトレーなど)
- 全長:3.4〜3.7m
- 幅 :1.5〜1.6m
- 高さ:1.9〜2.0m
- 内寸は軽トラより狭め(作業効率に制限あり)
🚚ハイエース・キャラバン系
- 全長:4.6〜5.0m
- 幅 :1.7〜1.8m
- 高さ:2.1〜2.3m
- 内寸は広めで、ドリンク+軽食、簡単な調理系にも対応可能
👉 バンタイプは「走行性能重視+コンパクト営業」に向いています。
1.5tトラック・大型車両の寸法と特徴
本格的に料理を提供したい場合は、1.5tトラック以上の車両が選ばれることもあります。
- 全長:4.7〜5.5m
- 幅 :1.8〜2.0m
- 高さ:2.5〜3.0m
- 内寸:幅1.8m × 奥行3.0m × 高さ2.0m程度
特徴:
- ↳ 石窯ピザ・フライヤー・カレーなど大規模調理が可能
- ↳ 内装に余裕があり、2〜3名でのオペレーションにも対応
- ↳ 初期費用・維持費は高く、運転や出店制限も増える
👉 「イベント特化」「本格調理」なら大型トラックタイプが有利ですが、固定費が高いため収支バランスに注意が必要です。
✅ ポイントまとめ
- ‣ 軽トラタイプ:安価・小回り◎、軽食やスイーツ向き
- ‣ バンタイプ:走行性◎、軽食やドリンク+αに最適
- ‣ 1.5tトラック以上:本格調理◎、イベントで強いがコスト高
3. 内寸法と作業スペースの考え方

キッチンカーは「外寸」だけでなく、実際に調理する内寸(作業スペース)が重要です。
立って作業できるか、調理機材が設置できるか、オペレーション人数に対応できるかが、営業のしやすさを大きく左右します。
立って作業できる高さの基準
- ・最低でも1.8m前後の高さがあれば、大人でも立って作業可能。
- ・軽トラ改造型では天井が低く、かがみながら作業するストレスが発生することも。
- ・ハイエース系や1.5tトラック型なら、2.0m前後の高さを確保できるため、快適に作業可能。
👉 長時間営業するなら「立って作業できる高さ」は必須条件と考えましょう。
調理機材やシンク設置に必要な幅・奥行き
営業許可を得るには、シンクや給排水タンクなどの設置スペースが必要です。
- ・シンク2槽分の横幅:最低60〜70cm
- ・調理機材(フライヤー・オーブンなど):奥行50〜70cm程度
- ・通路幅:最低60cm以上(オペレーションのしやすさに直結)
👉 内寸が狭いと、機材を入れてしまった時点で作業スペースがほぼゼロになることも。
「必要な機材サイズ+通路幅」を事前にシミュレーションしておきましょう。
ワンオペ/ツーオペで変わる最適レイアウト
◉ワンオペ営業(1人)
- ↳ 最低限の幅と通路(50〜60cm)でOK
- ↳ 機材は片側にまとめ、動線を短くする
◉ツーオペ営業(2人)
- ↳ 通路幅は最低70〜80cm欲しい
- ↳ 調理担当と提供担当でゾーンを分ける
- ↳ 調理台・シンク・冷蔵庫の配置を工夫することで効率化
👉 内寸が広ければ2人以上で効率良く回せますが、狭いとオペレーションが重なり提供スピードが落ちる原因になります。
✅ ポイントまとめ
- ‣ 内寸の高さは1.8m以上が快適ライン
- ‣ 機材+シンク+通路幅を確保しないと営業許可が下りない
- ‣ ワンオペならコンパクト、ツーオペなら通路幅広めが必須
4. 営業許可に通るための寸法・設備基準

キッチンカーの寸法は「営業許可が取れるかどうか」に直結します。
外見や内装の見栄えよりも、まずは保健所の基準を満たす寸法設計を押さえることが必須です。
ここでは、東京都の基準を例に解説します。
シンクの数と給排水タンク容量(東京都例)
東京都の移動販売における営業許可基準では、以下が必須条件とされています。
- ①シンクは2槽以上設置(洗浄用・すすぎ用)
- ②シンク1槽あたりのサイズ:20cm × 20cm × 15cm以上
- ③給水タンク容量:40L以上
- ④排水タンク容量:50L以上
👉 これらを設置するためには、最低でも 横幅60〜70cm、奥行40〜50cm程度 のスペースが必要です。
寸法が小さい車両では、この基準を満たせないこともあるため注意が必要です。
冷蔵庫・保冷庫を置くために必要なスペース
食材の衛生管理を保つため、冷蔵設備の設置は必須とされています。
- ・小型冷蔵庫(50〜100L程度) ➡ 幅50cm × 奥行50cm × 高さ80cm前後
- ・保冷庫・クーラーボックス ➡ 幅40〜60cm程度
👉 このスペースを確保するには、内寸幅1.5m前後+通路幅60cm以上 が理想です。
狭すぎると冷蔵庫を入れた時点で作業動線が確保できず、営業許可が下りないケースもあります。
内装材や通路幅などチェックされるポイント
保健所の検査では、寸法そのものよりも「設備が基準を満たして収まっているか」が重視されます。
- 内装材:耐水性・清掃性がある素材(ステンレス・FRPなど)
- 通路幅:最低でも50〜60cmは必要
- 換気:調理機材を置く場合は換気扇や通気口を設ける
- 照明:作業に十分な明るさ(通常はLEDなどで対応)
👉 「狭すぎて基準を満たせない」「機材で通路がふさがる」などの理由で不許可になる例も少なくありません。
✅ ポイントまとめ
- ‣ 東京都例では シンク2槽・給水40L・排水50L が必須
- ‣ 冷蔵庫を置くには内寸幅1.5m前後+通路幅60cm以上が理想
- ‣ 内装材・通路幅・換気・照明など細かい基準もチェックされる
5. 寸法選びの注意点と実用アドバイス

キッチンカーの寸法は「営業許可さえ取れればOK」ではありません。
実際に営業してみると、駐車・オペレーション・メニュー拡張など、後から困るケースが多いです。
ここでは、寸法選びで失敗しないための注意点と実用的なアドバイスをまとめます。
高さ制限(駐車場・道路)に注意
-
- キッチンカーは改造後の高さが2.5〜3.0m前後になることも多いです。
- 🔴一般的な立体駐車場の高さ制限は 2.1m前後。
- ↳高さ制限のある商業施設や会場ゲートでは、車両が入れないトラブルが発生します。
👉 出店予定地や普段停める駐車場の高さ制限を、必ず事前に確認しましょう。
狭すぎる内装が生むオペレーションの問題
- 🔴通路幅が50cm未満 ➡ ワンオペは可能でもツーオペは厳しい
- 🔴調理台やシンクを詰め込みすぎる ➡ 動線が塞がり効率ダウン
- 🔴機材を置いたら作業スペースがゼロになる ➡ 提供スピード低下 ➡ 行列離脱の原因
👉 寸法が小さいと、営業できても「効率が悪く利益が残らない」状態になりがちです。
短時間で大量提供が必要なイベント出店を考えるなら、余裕のある寸法選びが必須です。
将来のメニュー拡張を見据えた寸法選び
- 🌟開業時はドリンクのみ ➡ 将来は軽食や揚げ物も追加したい
- 🌟最初は1人営業 ➡ ゆくゆくはアルバイトを雇って2人体制にしたい
👉 このように事業を成長させるなら、初期から広めの寸法を選んでおくのがベストです。
改造後に寸法を広げるのは難しく、結果的に「車両の買い替え」が必要になる場合もあります。
✅ ポイントまとめ
- ‣ 出店場所や駐車場の高さ制限を必ず確認
- ‣ 狭すぎるとオペレーション効率が下がり、利益が減る
- ‣ 将来のメニュー拡張・人員増も見据えて寸法を選ぶのが安心
6. まとめ|自分のメニューと運営スタイルに合った寸法を選ぼう

キッチンカー経営において「寸法」は、思っている以上に重要な要素です。
単なる車両サイズではなく、営業許可・作業効率・出店可能な場所・将来の拡張性すべてに直結します。
最後に、寸法選びで押さえておきたいポイントを整理しておきましょう。
初心者が選びやすい寸法タイプとは?
- 💡初めての人におすすめなのは、軽トラタイプやハイエース系のバンタイプ。
- ↳出店場所の自由度が高く、初期費用や維持費も抑えやすい。
- ↳ドリンク・スイーツなどコンパクトメニューから始める場合に最適。
👉 本格調理やイベント特化を狙うなら、1.5tトラック以上の広い寸法が必要ですが、初心者はまず「小回りの効くタイプ」から始めるのが安心です。
寸法と許可基準を同時に確認する重要性
- ✅営業許可に必要な シンク・給排水タンク・冷蔵庫 が収まるかどうか
- ✅出店先や駐車場の 高さ・幅制限 をクリアできるか
- ✅1人 or 2人営業で必要な 通路幅 を確保できるか
👉 寸法と許可基準を別々に考えるのではなく、「同時にクリアできる車両か」を確認してから選ぶことが成功への近道です。
寸法チェックリスト(車両選び前に確認すべきこと)
- ▢車両の全長・幅・高さは出店予定地に入れるサイズか?
- ▢内寸の高さは「立って作業できる基準(1.8m以上)」を満たしているか?
- ▢シンク2槽+給排水タンク(40L以上/50L以上)が設置できるか?
- ▢冷蔵庫や機材を入れた後も通路幅50〜60cm以上が確保できるか?
- ▢将来のメニュー拡張やツーオペに対応できる広さがあるか?
👉 このチェックリストをクリアしていれば、「許可が取れない」「狭くて営業できない」といった失敗を避けられます。
✅ 最終まとめ
- ‣ 初心者は「軽トラ・バンタイプ」が扱いやすい
- ‣ 寸法は 営業許可・出店可能場所・作業効率 すべてに直結する
- ‣ 車両を選ぶ前に、寸法チェックリストで確認しておくことが成功のカギ
🚚💡 寸法を正しく理解し、自分のメニューと運営スタイルに合ったキッチンカーを選べば、開業後の失敗リスクを大幅に減らせます。